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プロジェクト紹介

令和元年度 文化資源活用事業費補助金(文化財多言語解説整備事業) 先端映像技術を用いた文化鑑賞のための拡張3Dマップ

2020年06月10日

1. 事業概要

1-1 事業名

令和元年度 文化資源活用事業費補助金(文化財多言語解説整備事業)
先端映像技術を用いた文化鑑賞のための拡張3Dマップ

1-2 事業期間

2019年(令和元年)6月3日~2020年(令和2年)3月31日

1-3 本事業の概要

背景:
宗教法人仁和寺は、広大な敷地を有し、数多くの文化財を所蔵しており、日本の主要な文化遺産の中でもその存在は大きい。
本山と800の関連寺院が日本各地に点在している。
またその歴史は古く、初代の住職を務めたのは宇多法皇であり、日本の歴史上重要な位置づけである。
真言宗御室派の本山であり、世界文化遺産として仏教美術、御室流華道など、文化芸術の分野においても幅広く活動している。
日本の文化財、社寺の中でも早い時期から、京都をはじめとする多くの大学の研究者と連携し、IT等最新の技術を導入し文化財の保護保存活用に取り組んできた。
2012年に観音堂の大規模修理の時、世界に先立ち、京都大学との共同プロジェクトにおいて、観音堂内の壁画、仏像すべてを顕微鏡で観察するような精度で超高精細デジタル化し、ほぼ400年前の当時の壁画、顔料、技法などを正確に科学記録した。
これまでの実績:
世界文化遺産に登録されている宗教法人仁和寺は、すでに海外からの多くの観光客、研究者等訪問者のために多言語のガイドを整備し、フランス、中国、アセアン諸国の現地に出かけて行き、日本の文化財の紹介をしてきた。
2018年東京国立博物館の展示(32万人以上の来訪者)、九州国立博物館の展示(6万人以上の来訪者)、また各地における超高精細の壁画再現技術を展開して来た。
NHKの2019年正月特別番組など、繰り返し仁和寺のドキュメンタリーを放映している。
2018年度多言語整備事業で京大名誉教授井手亜里に協力し、仁和寺の国宝・重要文化財6か所以上、看板など、多言語整備(4か国語)を行い、文化庁の本整備事業に参加して来た。
整備概要:
宗教法人仁和寺には、国宝、重要文化財等の指定文化財を多く所蔵しており、日本あるいは世界に紹介されていないものがまだまだ多い。
本整備事業で、すでに文化庁の多言語整備関連の事業で整備を進めているものに加え、まだ多言語コンテンツは整備されていない国宝、重要文化財等を本年度にとりあげてさらに整備する。
具体的には、拡張3Dマップコンテンツを4か国語で整備する。
拡張3Dマップはドローン撮影、VR撮影、通常撮影を行い、境内全体をバーチャルツアーできるようにし、ほとんど非公開である文化財を厳密に選択し、可能な限り多くの観光客に閲覧可能にする。
また、観光客の精密な統計採集、フォロー、満足度評価を行う。
コンテンツは観光客を始め、社会、あるいは可能な限り国際的に教育に利活用する。
伝統文化の魅力を、最新のデジタル技術を用いて、観賞用コンテンツに整備加工しながら、外国人客向けに多言語化対応することを目指す。
これは単なる観光客誘致だけでなく、観光客の満足度向上を通じて日本文化を世界に発信することを目指す。
対象となる複数の文化財コンテンツを視聴するため、多言語表示の看板や翻訳したQRコードを分かりやすいところに表示し、アプリケーションソフト配信などサービスを充実させる。
本事業において、文化財デジタル活用の基盤を造り、地域振興のためのデジタルネットワークを構築することに重点を置きスタートする。

1-4 対象文化財

文化財種別 指定等文化財の名称
重要文化財
重要文化財
重要文化財
重要文化財
登録文化財
登録文化財
登録文化財
登録文化財
登録文化財
登録文化財
登録文化財
国宝
国宝
重要文化財
重要文化財
重要文化財
重要文化財
重要文化財
二王門
中門
御影堂
観音堂
宸殿
黒書院
大玄関
白書院
勅使門
皇族門
霊明殿
薬師如来坐像
高倉天皇宸翰
宝珠羯磨文様錦横被
色絵瓔珞文花生
日月蒔絵硯箱
住吉蒔絵机
仁和寺黒塗手箱聖教

1-5 履行場所

所在地:京都府京都市右京区御室大内33 番地 宗教法人仁和寺内
本事業の整備対象は、下図に示す範囲内の文化財、および宗教法人仁和寺の所有する文化財である。
京都府京都市右京区御室大内33

京都府京都市右京区御室大内33 仁和寺

2. 事業内容

2-1 E3Dマップの作成

1)整備内容
(1)基本情報
二王門、中門、御影堂、宸殿、黒書院、大玄関、白書院、勅使門、皇族門、寺域全体を撮影する。
撮影手法はドローン空撮、カメラ近接撮影、360°パノラマ撮影などを用いる。
得られた画像・映像を用いて拡張3D-MAPを製作する。
拡張3D-MAPとは、寺域をとらえた3次元の鳥観図より、境内の各文化財施設を選択し、さらに詳しい情報(映像・画像・解説・VR・ウェブコンテンツ・リンク先情報)へとジャンプすることができる、インタラクティブなデジタル案内図である。
膨大な情報量が、スマートフォンなどのデバイスに格納され、MAP上には建造物の他に、ビューポイントを設定し、見どころや四季折々の風景が再現される。閲覧者はデバイス上で自由に視点を変え、拡大、移動をしながら、自分の興味のあるポイントをクリックし、さらに詳しい情報を入手できる。
御殿エリアに関しては、より詳細に内部構造を再現した3Dモデルを作成する。御殿群は、渡り廊下で各書院と建物群がつながり、庭園、茶室、室内の襖絵にいたるまで、内外ともに門跡寺院らしい格式と優美さを備えた意匠になっている。
御殿群は3D-MAPの中でも、特に正確に再現し、解説を付加する。
全てのコンテンツは多言語解説により、外国人にとって分かりやすく、仁和寺の魅力が伝わるように工夫する。
翻訳・監修に関しては、英訳は可能な限り本事業で推薦される専門家に依頼し、その他の言語は各分野の専門家に依頼する。
画像・映像については、高画質・高精細で、仁和寺の魅力が十分に表現されたものを製作する。
国内外の観光客にとって「行ってみたい、見てみたい」あるいは、「来てよかった、楽しかった、分かりやすかった」と感じられるような、成果品を目指す。
表現方法は実写・CG・アニメーション・MR・空撮動画などの先進技術を積極的に取り入れる。
(2)諸条件
ア)画像・映像について
①使用する被写体の肖像権、著作権などの侵害が生じないこと。
② 成果品を構成する素材と生データを成果品とともに納品し、発注者による二次利用を可能とする。
③映像データは画面縦横比を16:9とし、4K(3840 × 2160)以上の品質が望ましい。
④画像データは原寸400dpi以上の解像度が望ましい。
⑤ スマートフォン、タブレット端末、PCなどデバイスに応じて出力が最適化されること。
⑥ 成果品を構成する各パーツはYouTubeなどの動画紹介サイト、SNSなどを通し、国内外(中国を含む)で発信可能であること。
イ)MRについて
①使用する被写体の肖像権、著作権などの侵害が生じないこと。
②成果品を構成する素材と生データを成果品とともに納品し、発注者による二次利用を可能とする。
③セキュリティ上必要に応じCG加工を施すこと。
④VRゴーグルで視聴可能なコンテンツに変換できること。
ウ)ソフトウェアについて
①今回導入するコンテンツは毎年のライセンス更新が発生しないこと。
②必要に応じた適切なバージョンアップが可能であること。
③有益な機能があれば積極的に提案すること。
エ)ハードウェアについて
①将来的な拡張性に十分考慮し、HDD容量・メモリ等の増設、環境の変化に対応可能であること。
②データは厳重に保管され、万が一の障害時にも安定性が保たれ、バックアップ機能が有効であること。
③信頼性と実績のあるハードウェア、部材、サービス等で構成すること。
④コンピューターウイルス等による対策を十分に行うこと。
2)事業報告
◆設計内容
 拡張3D-MAP の製作
仁和寺拡張3D-MAPコンテンツ階層表
仁和寺拡張3D-MAPコンテンツ階層表
●二王門、中門、御影堂、宸殿、黒書院、大玄関、白書院、勅使門、皇族門、御殿エリア、寺域全体を撮影する。
 撮影手法はドローン空撮、カメラ近接撮影、360°パノラマ撮影などを用いる。
目的 対象名 場所
ドローン 勅使門 外観
大玄関 外観
黒書院 外観
御影堂 外観、動画
白書院 外観
境内オルソ撮影 外観
二王門 外観、動画
写真測量 御影堂 内部
御影堂 外観
御影堂 内部
宸殿 内部
白書院 内部
勅使門 外観
大玄関 内部
黒書院 内部
宸殿 内部
白書院 内部
皇族門 外観
二王門 外観
黒書院 外観
宸殿 内部
白書院 外観
大玄関 外観
宸殿 内部
御影堂 内部
●得られた画像・映像を用いて拡張3D-MAPを製作する。

  • 昨年度までは、境内各施設ごとのバラバラのQRがE3Dmap上で統合される。
  • 御殿エリアに関しては、より詳細に内部構造を再現した3Dモデルを作成する。御殿群は3D-MAPの中でも、特に正確に再現し、解説を付加する。
●全てのコンテンツは多言語解説により、外国人にとって分かりやすく、仁和寺の魅力が伝わるように工夫する。
 翻訳・監修に関しては、英訳は可能な限り本事業で推薦される専門家に依頼し、その他の言語は各分野の専門家に依頼する。
●QR看板設置を新たに設置する。
◆工程表(タイムスケジュール)

工程表(タイムスケジュール)

◆配置図
E3Dmapの令和元年度の整備対象の範囲と看板の設置場所を下図に示す。
配置図
① 正面境内図E3Dmap(QR コード呼び出し)
① 正面境内図E3Dmap(QR コード呼び出し)
② 二王門(QR コード呼び出し)
② 二王門(QR コード呼び出し)
③ 御影堂(QR コード呼び出し)
③ 御影堂(QR コード呼び出し)
◆パンフレットイメージ

パンフレットイメージ1

パンフレットイメージ2

◆多言語展開
英語
多言語展開(英語)
中国語
多言語展開(中国語)
韓国語
多言語展開(韓国語)
◆QRコード一覧

QRコード一覧

2-2 国指定文化財の検索・閲覧システムの構築

1)整備内容
(1)基本情報

「薬師如来坐像」「高倉天皇宸翰」「宝珠羯磨文様錦横被」「色絵瓔珞文花生」「日月蒔絵硯箱」「住吉蒔絵机」「仁和寺黒塗手箱聖教」「関連資料」を超高精細で撮影し、仁和寺資料アーカイブの一部を作成する。アーカイブは原則として仁和寺内において検索・公開可能とするが、インターネットを通じて公開する方が有益なものに関しては、協議の上その方針を決定する。

仁和寺の歴史と文化に深く関連する宝物・書籍類は、仁和寺の魅力を表現するうえで欠かせない素材となりうることから、それらのイメージデータ、解説資料を、今後のインターネット環境の拡張を見据えたうえで整備する。

データベースはIIIFの国際規格を準拠する。近年国際的な大きな流れとして、美術館・図書館・大学等、文化機関のデジタルギャラリーは、IIIFの国際的に統一された規格を準拠することで、貴重な文化財の情報を閉じ込めることなく、広く全世界に向け発信している。この規格の準備をしておくことで、将来的には、画像データとそれ以外のアノテーションなどの属性が関連付けられ、研究が一層進むことや、仁和寺の認知度が高まることが期待される。

画像データは精度の高い高解像度のイメージのほか、PR動画やパンフレット用素材として使いやすいカット割とファイルサイズのものも撮影する。寄託中や修理中のものに関しては、その撮影方法と時期について発注者と協議し決定する。必要な関連資料についても別途撮影計画を立てる。多言語解説については、入力項目を制限し、現在存在する英文目録データ(名称・著者・形態情報・注記等)の多言語化を行う。

(2)諸条件
ア)画像・映像・注釈について
①使用する被写体の肖像権、著作権などの侵害が生じないこと。
② 成果品を構成する素材と生データを成果品とともに納品し、発注者による二次利用を可能とする。
③映像データは画面縦横比を16:9とし、4K(3840 × 2160)以上の品質が望ましい。
④データベース用画像データは原寸600dpi~1200dpiとする。
⑤素材用画像データは300dpi以上JPEG形式が望ましい。
⑥撮影時カラーチャートとスケールを写し込み、画像データを統一する。
⑦撮影場所は発注者が指定し、撮影時、文化財のハンドリングは発注者が行う。
⑧立体物に関しては3D撮影を行う。
⑨必要な付加情報(目録データ、翻刻データ)は発注者が提供する。
⑩ スマートフォン、タブレット端末、PCなどデバイスに応じて出力が最適化されること。
イ)ソフトウェアについて
①今回導入するコンテンツは毎年のライセンス更新が発生しないこと。
②必要に応じた適切なバージョンアップが可能であること。
③有益な機能があれば積極的に提案すること。
ウ)ハードウェアについて
① 将来的な拡張性に十分考慮し、HDD容量・メモリ等の増設、環境の変化に対応可能であること。
② データは厳重に保管され、万が一の障害時にも安定性が保たれ、バックアップ機能が有効であること。
③信頼性と実績のあるハードウェア、部材、サービス等で構成すること。
④コンピューターウイルス等による対策を十分に行うこと。
2)事業報告
◆設計内容
国指定文化財等の撮影とその表示・配信システムの製作
●「 薬師如来坐像」「高倉天皇宸翰」「宝珠羯磨文様錦横被」「色絵瓔珞文花生」「日月蒔絵硯箱」「住吉蒔絵机」「仁和寺黒塗手箱聖教」「関連資料」を超高精細で撮影する。
日付 業務内容
7月19日(金) スキャナ①搬入
7月23日(火) スキャニング PH1
7月24日(水) スキャニング PH1
7月29日(月) スキャナ①移動と②の搬入
7月30日(火) スキャニング 肖像画
7月31日(水) スキャニングPH1とPH2
8月2日(金) スキャニングPH2
8月5日(月) PH2 ブックスキャナ
8月6日(火) PH2 ブックスキャナ
8月7日(水) PH2 ブックスキャナ
8月20日(火) PH2
8月22日(木) PH2 ブックスキャナ
8月23日(金) PH2 ブックスキャナ
8月27日(火) PH2 ブックスキャナ
8月29日(木) PH2 ブックスキャナ
8月30日(金) PH2 ブックスキャナ
9月3日(火) PH2 ブックスキャナ
9月5日(木) PH2 ブックスキャナ
9月6日(金) ブックスキャナ
9月11日(水) PH2 ブックスキャナ
9月12日(木) 小型S/ブックS 搬出
9月24日(火) 3D・2D撮影等準備・目録スキャン
9月25日(水) 収蔵庫所蔵品の撮影
10月2日(水) 3D・スチール
10月4日(金) 京博→仁和寺
10月10日(木) 寄託品里帰り撮影
10月11日(金) 寄託品里帰り撮影
10月17日(木) 機材撤収
■全撮影対象物:2710点
●スキャニング:2706画像
●スチルカメラ撮影:100画像
●3D撮影:6点

スキャニングの解像度
●以下のものは400DPI程度
・仁和寺黒塗手箱聖教
・関連史料 冊子
●以上以外は600DPI程度

●撮影データは、「仁和寺資料アーカイブ」の一部となるようにデジタル保管する。
 保管データは原則として仁和寺内において検索・公開可能とする
●インターネットを通じて公開する方が有益なものに関しては、協議の上その方針を決定する。
 「仁和寺資料アーカイブ」のデータベースはIIIFの国際規格を準拠する
◆工程表◆
工程表(宝物・文書類データ化)
工程表(宝物・文書類データ化)
◆文化財リスト
名称 形状・材質 Scanner Camera 3D
1 薬師如来坐像 国宝 木造(白檀)
2 高倉天皇宸翰 国宝 軸装・紙本
3 宝珠羯磨文様錦横被 重文 絹製
4 色絵瓔珞文花生 重文 陶製
5 日月蒔絵硯箱 重文 方形・漆製
6 住吉蒔絵机 重文 漆製
7 仁和寺黒塗手箱聖教 重文 〇239
関連史料 〇63
※仁和寺黒塗手箱聖教(修理中を除く)

種類 数量
折本 113
巻子 51
37
折紙 31
1枚物 5
冊子 2
総計 239
◆システム構成
本システムは、画像変換システムを除くすべてのシステムをAWSクラウド上に構築します。
これにより、システムのリソース(容量や、処理速度)を用意に増強・縮小できることができるようになります。
また、クラウド上VPCを構築することで、常に最新のセキュリティ対策を行うことを可能にします。

システム構成

◆ 管理者マニュアル
1. 推奨環境
・ブラウザ:Google Chrome
・Excel 最新版(CSVインポート/ エクスポートを行う場合)
2. システム定義
システム内での言葉の定義、管理画面の名称・役割を説明する
2-1. 言葉の定義
• manifest: 一連の画像の集まり、付随する文化財情報をもつ(例:名称、製作者)
• canvas: manifestとimageを紐付けるもの、manifest中でのimageの役割に関する情報をもつ(例: マニフェスト内表示順)
• image: 画像そのもの
• annotation(注釈): 画像に付随する詳細情報、画像内の位置情報をもつ

2-2. 画面説明
管理画面:ユーザー情報、画像データ及び文化財情報、公開画面での検索項目を管理する画面

管理画面

閲覧画面:詳細画像、及び文化財情報を閲覧する画面(一般ユーザーアクセス可)

閲覧画面

annotation editor: annotationの位置を編集する画面

annotation editor

公開画面:画像データを一覧表示、検索する画面(一般ユーザー画面)

公開画面

3. 業務フロー
業務の手順に沿って画面の操作方法を説明する
3-1. 管理画面へのログイン
管理画面へアクセスし、ユーザー名とパスワードを入力しログインする。

3-1. 管理画面へのログイン

3-2. 管理画面へのログイン
一覧ページ上部の検索欄に検索したいデータの情報を入力する。
例: manifestページでの場合
「正式名 検索」に「源氏物語」と入力
検索条件に一致するデータが一覧で表示される。

3-2. 管理画面へのログイン

3-3.編集
一覧ページにて、編集したいデータの上でクリックし詳細編集画面を開く。
(選択しているものはグレーの網掛けがかかる)

3-3.編集

2-3 観音堂VRの制作

1)整備内容
(1)基本情報

平成大修理を終えたばかりの重要文化財観音堂は、建物の修理、障壁画の修復も完了し、本尊である千手観音菩薩をはじめ、二十八部衆、風神雷神などが安置された。
盛大な落慶法要ののち、これまでよりさらにハイクラスな文化財として注目を浴びている。
約370年前より非公開であった内部は、障壁画、仏像ともに保存状態が極めて良好で、極彩色の残る堂内の様子は他に類を見ない。

これまでに、障壁画は京都大学のプロジェクトチームにより高精細撮影され、その画像データは仁和寺に寄贈されている。
この貴重なデータを有効に活用し、仏像33体の3次元データとともに、堂内を3Dで再現し、VRコンテンツを創出する。

障壁画に描かれた仏画は、芸術的にも美しく、宗教的な教えも興味深く、ストーリー性が高い。
またそれぞれの仏像はとても個性の際立った姿をしており、観音堂内部の要素だけでも、壮大な物語が演出できると考えられる。
今回は、観音堂そのものと、それぞれの仏像にスポットを当てた、先進的で魅力的なVRコンテンツを制作する。

また観音堂大修理前の2012年に、前述のとおり京都大学により記録された高精細画像データをもとに、修理前と修理後を対比させた表現も可能である。
日本の文化財修復の伝統的手法と技術の高さをアピールすることで、より興味深い内容となる。

全てのコンテンツは多言語解説により、外国人にとって分かりやすく、仁和寺の魅力が伝わるように工夫する。
翻訳・監修に関しては、英訳は可能な限り本事業で推薦される専門家に依頼し、その他の言語は各分野の専門家に依頼する。
画像・映像については、高画質・高精細で、仁和寺の魅力が十分に表現されたものを製作する。
国内外の観光客にとって「行ってみたい、見てみたい」あるいは、「来てよかった、楽しかった、分かりやすかった」と感じられるような、成果品を目指す。
表現方法は実写・CG・アニメーション・MR・空撮動画などの先進技術を積極的に取り入れる。

(2)諸条件
ア)画像・映像について
①使用する被写体の肖像権、著作権などの侵害が生じないこと。
②成果品を構成する素材と生データを成果品とともに納品し、発注者による二次利用を可能とする。
③映像データは画面縦横比を16:9とし、4K(3840 × 2160)以上の品質が望ましい。
④画像データは原寸400dpi以上の解像度が望ましい。
⑤スマートフォン、タブレット端末、PCなどデバイスに応じて出力が最適化されること。
⑥成果品を構成する各パーツはYouTubeなどの動画紹介サイト、SNSなどを通し、国内外(中国を含む)で発信可能であること。
イ) MRについて
①使用する被写体の肖像権、著作権などの侵害が生じないこと。
②成果品を構成する素材と生データを成果品とともに納品し、発注者による二次利用を可能とする。
③セキュリティ上必要に応じCG加工を施すこと。
④VRゴーグルで視聴可能なコンテンツに変換できること。
ウ)ソフトウェアについて
①今回導入するコンテンツは毎年のライセンス更新が発生しないこと。
②必要に応じた適切なバージョンアップが可能であること。
③有益な機能があれば積極的に提案すること。
エ)ハードウェアについて
①将来的な拡張性に十分考慮し、HDD容量・メモリ等の増設、環境の変化に対応可能であること。
②データは厳重に保管され、万が一の障害時にも安定性が保たれ、バックアップ機能が有効であること。
③信頼性と実績のあるハードウェア、部材、サービス等で構成すること。
④コンピューターウイルス等による対策を十分に行うこと。
2)事業報告
◆コンセプト

観音堂建物と壁画を劇場に見立て、安置されている個性的な仏像をメインコンテンツとし、約370 年非公開であった保存状態の良い文化財の芸術的・宗教的ストーリーを簡便にリアリティな体験としてもらえるようVR機器を使用した観音堂VRの作成を目指した。

建物の外観と内部構造は、写真測量により精密に計測し図面化し、そのデータを基に3D空間データを作成した。
さらに、壁画は京都大学井手名誉教授がデータ化した超高精彩データを使用しリアルな空間を構築した。観音堂に安置されている千手観音菩薩立像や二十八部衆立像など三十三体について、1体ずつ写真測量を行い形状の取得された3Dデータを使用した。また、
色彩情報はそれぞれデジタル補正を行いよりリアルな状態に仕上げた。

三十三体をグループに分け、それぞれの解説をしつつストーリー展開を構成した。
解説内容については仁和寺管財課の方針を基本とし、仏教、仏教美術、造形、宗教学、VR技術・美術、イメージング工学等、各分野の専門家の指導を受けた。

◆スケジュール
(プロジェクト名)概要
「観音堂仏像33体に係るVRコンテンツ製作
プロジェクト開始日:2019/7/5
スケジュール
◆定期的な試作体験会と有識者会議の開催

11/29:観音堂内において有識者/制作者の現地調査
12/26:スクリーンキャプチャー動画を作成し仁和寺役員向け報告会で報告
1/30:試作VRVer.1の寺内体験会とアンケート収集・制作者会議
1/31:試作VRVer.1の寺内体験会とアンケート収集・有識者/制作者会議
2/25:試作VRVer.2の寺内体験会と有識者/制作者全体会議

体験会や会議を定期的に行い、意見収集と専門家指導により修正を重ねた。様々な観点からのフィードバックにより作品の質の向上を目指した。

定期的な試作体験会と有識者会議の開催

◆ストーリー
対象とした仏像は観音堂のご本尊である千手観音菩薩1体、脇侍2体、観音様の眷属二十八部衆28体、風神雷神2体の計33体である。
VRストーリーを8場面に分け、それぞれグルーピングした仏像を順に見せながら紹介する。
視点を固定し、オブジェクトが動く構成とし、身体への影響(VR酔い)を極力抑える工夫をした。
各場面のイメージを簡単に解説し、一部のイメージ画像を示す。

  1. 「 オープニング」観音堂が須弥山の仮想世界に浮かぶ。堂内に導かれ須弥壇に並ぶ33体の仏様たちに対峙する。
  2. 「千手観音菩薩と両脇侍」ご本尊と両脇侍の解説
  3. 「 帝釈天と梵天」梵釈二尊は仏教の二大護法神で仏教を護るという重要なポジションという解説
  4. 「 持国天・増長天・広目天・多聞天」仏教の仮想世界である須弥山の四方を守る守護神の解説
  5. 「 古代インド神話や経典に登場する神々」仏教の守護のために集められた古代インドの異教の神々の解説
  6. 「仁王」密迹金剛力士から那羅延堅固王の解説
  7. 「風神雷神」 風渦を起こす風神 雷を発光する雷神の解説
  8. 「 クロージング」再び33体の安置された堂内へ
堂内に並ぶ33 体の仏様
堂内に並ぶ33 体の仏様
千手観音菩薩と両脇侍
千手観音菩薩と両脇侍
阿修羅王と古代インドの神々
阿修羅王と古代インドの神々
仁王
仁王
天空神
天空神

2-4 非公開文化財の展示公開システムの制作

I. 文化財多言語シアター公開

1) 整備内容
(1)基本情報

仁和寺内の非公開文化財を、先進的な手法により、シネマ等の媒体を通して展示するシステムを仁和寺内に設置する。
通常非公開の建物内部を見ることができ、四季折々の仁和寺の様子をバーチャルで体験できる空間を創出する。
室内型の常設展示は、雨天、猛暑、厳寒などの気象条件に強く、また高齢者や身障者など広い境内の観光が困難な社会的弱者にも優しい展示である。
これまでのようなビデオ放映や資料展示による観光から、より先進的で効果的な映像やVRのシネマを通して体感できる観光を創り出すことで、話題性、満足度向上などの大きな効果が期待できる。
上映するコンテンツは3 本を目安とし、既存のものを変換・調整する。

移動式の展示(空間再現)についても検討・提案する。

全てのコンテンツは多言語解説により、外国人にとって分かりやすく、仁和寺の魅力が伝わるように工夫する。
翻訳・監修に関しては、英訳は可能な限り本事業で推薦される専門家に依頼し、その他の言語は各分野の専門家に依頼する。
画像・映像については、高画質・高精細で、仁和寺の魅力が十分に表現されたものを製作する。
国内外の観光客にとって「行ってみたい、見てみたい」あるいは、「来てよかった、楽しかった、分かりやすかった」と感じられるような、成果品を目指す。
表現方法は実写・CG・アニメーション・MR・空撮動画などの先進技術を積極的に取り入れる。

(2)諸条件
ア)画像・映像・VRについて
①使用する被写体の肖像権、著作権などの侵害が生じないこと。
②成果品を構成する素材と生データを成果品とともに 納品し、発注者による二次利用を可能とする。
③映像データは画面縦横比を16:9とし、4K(3840 × 2160)以上の品質が望ましい。
④画像データは原寸400dpi以上の解像度が望ましい。
⑤コンテンツは平面スクリーンで投影可能なほか、HMDでも視聴可能であること。
⑥視聴に必要なHMDは追加導入が可能な価格帯・製品であること。
⑦同時視聴が10 名以上可能であること。
⑧コンテンツはセキュリティ上必要に応じCG加工を施すこと。
イ)ソフトウェアについて
①今回導入するコンテンツは毎年のライセンス更新が発生しないこと。
②必要に応じた適切なバージョンアップが可能であること。
③有益な機能があれば積極的に提案すること。
ウ)ハードウェアについて
①将来的な拡張性に十分考慮し、HDD容量・メモリ等の増設、環境の変化に対応可能であること。
②データは厳重に保管され、万が一の障害時にも安定性が保たれ、バックアップ機能が有効であること。
③信頼性と実績のあるハードウェア、部材、サービス等で構成すること。
④コンピューターウイルス等による対策を十分に行うこと。
2) 事業報告
◆コンセプト

VRのHMDは、htc社製ViveProを使用し、VR対応パソコン(グラフィックボードを搭載した高性能パソコン)と1セットとし、3セット同時運用を想定し設計した。
VivePro運用中は複数本のケーブルが必要になり、身体への絡まりなどによる事故や機器の損傷する可能性を排除できない。
また、性能的に数m範囲であれば自由に動き回ることが可能となっているが、同時に鑑賞している他者との接触の可能性も否定できない。
そこで椅子に坐した状態で体験してもらう方針を決定し、視聴者の安全性確保を最優先した。
これは、シアターを体験してもらう際に、安全性を確保し、VR機器に対して敷居を下げるのが主目的であったが、その他の効果も考慮されている。

VR機器は自由に動き回れることがメリットでもあるが、体験中にはアテンドによる注意喚起も必要でデメリットも存在していた。
座位にすることで現実世界での不要な物理的身体の損傷を防ぎ、アテンドの簡素化を実現した。
また、座して体験してもらうことにより、立って体験するより省スペース化を目指した。
限られている展示スペースに対応し、同時に体験できる人数を増やし、体験人数を増やすことで、VR機器の多人数の対応という不得意事項を緩和することとした。
さらに、HMD以外を椅子下に収納することにより鑑賞者に関係するケーブルをHMDへ繋がる1本のみとし、見た目をすっきりさせ、座ってHMDを被るだけ、と体験する心理的敷居を下げることも意図している。

◆タイムスケジュール
(プロジェクト名)概要
「非公開文化財のVR展示公開システム製作
プロジェクト開始日:2019/7/5
タイムスケジュール
◆多言語展開
日本語・英語・中国語・韓国語の4言語から選択する。
言語選択の方法は、視点カーソルを希望の言語に合わせて、数秒経つと、その言語のバージョンが再生されるようプログラム設定をした。
この方法により、オペレーションスタッフが希望言語をその都度尋ねる必要がなくなるので、現場での運用管理がスムースになる。
タイトル画面
タイトル画面
言語選択画面
言語選択画面

II. 観音堂高精細画像復元屏風

1) 整備内容
観音堂内の空間再現展示の方法として、高精細画像を用いた屏風を作成し、可動式展示方法として活用する。
2) 事業報告

◆須弥壇正面(左側・中央・右側)3 曲…3 個
 サイズ:中央1700㎜× 1600㎜、左右1700㎜× 1522㎜

◆東面一壁上段、東面二壁上段、北面一壁上段、北面二壁上段、北面三壁上段、
 北面四壁上段、西面一壁上段、西面二壁上段 裏表両面貼り4 曲…4 個
 サイズ:各1700㎜× 2485㎜

観音堂高精細画像復元屏風

III. スマートサイネージ

1)整備内容
(1)基本情報
仁和寺内の非公開文化財を、先進的な手法により、サイネージ等の媒体を通して展示するシステムを仁和寺内に設置する。
これにより、QRコードの情報やVRコンテンツがディスプレイで閲覧できるようになり、展示公開の範囲と対象を拡大し、より効果を上げることができる。
またレビュー収集の機能を備えたインタラクティブコンテンツを実装し、評価測定につなげる。
全てのコンテンツは多言語解説により、外国人にとって分かりやすく、仁和寺の魅力が伝わるように工夫する。
画像・映像については、高画質・高精細で、仁和寺の魅力が十分に表現されたものを製作する。
国内外の観光客にとって「行ってみたい、見てみたい」あるいは、「来てよかった、楽しかった、分かりやすかった」と感じられるような、成果品を目指す。表現方法は実写・CG・アニメーション・MR・空撮動画などの先進技術を積極的に取り入れる。
(2)諸条件
ア)画像・映像・VRについて
①使用する被写体の肖像権、著作権などの侵害が生じないこと。
②成果品を構成する素材と生データを成果品とともに納品し、発注者による二次利用を可能とする。
③映像データは画面縦横比を16:9とし、4K(3840 × 2160)以上の品質が望ましい。
④画像データは原寸400dpi以上の解像度が望ましい。
⑤コンテンツはセキュリティ上必要に応じCG加工を施すこと。
イ)ソフトウェアについて
①今回導入するコンテンツは毎年のライセンス更新が発生しないこと。
②必要に応じた適切なバージョンアップが可能であること。
③有益な機能があれば積極的に提案すること。
ウ)ハードウェアについて
①将来的な拡張性に十分考慮し、HDD容量・メモリ等の増設、環境の変化に対応可能であること。
②データは厳重に保管され、万が一の障害時にも安定性が保たれ、バックアップ機能が有効であること。
③信頼性と実績のあるハードウェア、部材、サービス等で構成すること。
④コンピューターウイルス等による対策を十分に行うこと。
2)事業報告
◆コンセプト
寺内に大型ディスプレイを設置し、多言語解説による情報提供を行う。
またレビュー収集の機能を備えたインタラクティブコンテンツを実装し、評価測定につなげる。
◆スケジュール
2月上旬
調査・設計
2月中旬~3月上旬
デジタルサイネージ製作
デジタルコンテンツ制作
3月中旬~3月下旬
設置工事
3月下旬
テスト公開ののち設置完了
◆配置図

配置場所は中門北側の茶所内に設置する。
高さ163㎝×幅265㎝のウッドパネルに壁掛け設置する。
下図の境内抜粋部分に示す。

配置図

◆サイネージ設計概要とインターフェイスイメージ

Ninnaji Intelligent Digital Signage UI Image of Main Page

Function1: Omuro Digital Museum Window Function2: Video Contents Window

Function 3 : Multilanguage Support Window Function4 : Survey Window

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